⚠️ 免責事項
この記事はTJ個人の見解や実体験、決算資料等からまとめたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資に関する最終判断はご自身にてお願いいたします。本記事の情報は、2026年10月15日時点。
今回は、UBE(4208)を紹介するよ!社名が宇部興産からUBEに変わった化学メーカーなんだ。
配当の決め方をガラッと変えてきたのが、いまのUBE。その中身と気になる点を、順に確かめていくよ!
東証プライム | コード 4208 | 化学 | 決算月:3月
UBE(旧宇部興産)
高配当株 銘柄分析スコアシート | 2026年3月期(2026年5月公表)
現在株価(2026/10/15 終値)
3,305円前日比-58 (↓1.72%)
時価総額 約3,510億円
配当利回り(予)
4.84%
160円(2027/3期予想)
PER(予)
13.10倍
過去レンジ 6.31〜37.34倍(2010年以降・赤字期除く)
PBR(実)
0.73倍
過去レンジ 0.40〜1.72倍(2010年以降)
配当性向(予)
63.4%
2027年3月期 会社予想
(当ブログ算出)
※データ取得日:2026/10/15
UBE(4208)はどんな会社?【事業内容】
UBE(旧宇部興産)は、ナイロン樹脂やポリイミドなどの化学品の製造が主事業です(会社四季報)。売上の約半分は、食品包装フィルムや衣料用繊維の原料になるナイロン、肥料、合成ゴムなどの樹脂・化成品。ディスプレイ材料のポリイミドや電池材料、2025年の買収で広げた高機能ウレタン、医薬、成形機などの機械も手がけます。セメント事業は2022年に合弁会社へ移しました。海外売上は約55%。本社は東京都港区で、東証プライムに上場しています。
📈 株価・PER・配当10年チャート
4208 UBE|10年
株価(円)
1株配当(円)
PER(倍)
当月点
出典:IR BANK・Yahoo!ファイナンス
数値データを見る(表)
※株式併合を反映した調整後ベースの値です。株価は各年度末時点の値です。最新の株価・指標はページ上部のスコアシートをご覧ください。表の最終行(2026/10)は当月時点の値で、株価は2026年10月15日時点、1株配当とPERは今期の会社予想に基づく値です。出典:IR BANK・Yahoo!ファイナンス
| 年度 | 株価 (円) | 1株配当 (円) | PER (倍) |
|---|
| 2017/03 | 2510 | 60 | 10.98 |
| 2018/03 | 3105 | 75 | 10.29 |
| 2019/03 | 2275 | 80 | 7.28 |
| 2020/03 | 1657 | 90 | 7.29 |
| 2021/03 | 2358 | 90 | 10.40 |
| 2022/03 | 1997 | 95 | 8.01 |
| 2023/03 | 2055 | 95 | — |
| 2024/03 | 2726.5 | 105 | 9.13 |
| 2025/03 | 2174.5 | 110 | — |
| 2026/03 | 2431 | 110 | 9.89 |
| 2026/10 | 3305 | 160(予) | 13.10(予) |
27年3月期の配当予想、前の年からずいぶん増えるんだね!
配当の決め方の目安、DOEを高く設定し直したからなんだ。
UBEは株主資本をものさしに配当を決めていて、そのものさしを一段上げた。UBEの配当の歴史でも、大きな節目になる変化だね!
📊 配当性向・配当利回り 10年推移
4208 UBE|10年
配当性向(%)
配当利回り(%)
出典:IR BANK・決算資料
数値データを見る(表)
※株式併合を反映した調整後ベースの値です。年次の確定値のみを掲載しています。出典:IR BANK・決算資料
| 年度 | 配当利回り (%) | 配当性向 (%) |
|---|
| 2017/03 | 2.39 | 26.3 |
| 2018/03 | 2.42 | 24.9 |
| 2019/03 | 3.52 | 25.6 |
| 2020/03 | 5.43 | 39.6 |
| 2021/03 | 3.82 | 39.7 |
| 2022/03 | 4.76 | 38.1 |
| 2023/03 | 4.62 | — |
| 2024/03 | 3.85 | 35.2 |
| 2025/03 | 5.06 | — |
| 2026/03 | 4.52 | 44.8 |
※2023年・2025年は赤字により配当性向非表示
📊 EPS・営業利益率・ROE 10年推移
4208 UBE|10年
EPS(円)
営業利益率(%)
ROE(%)
出典:IR BANK・決算資料
数値データを見る(表)
※株式併合を反映した調整後ベースの値です。年次の確定値のみを掲載しています。出典:IR BANK・決算資料
| 年度 | EPS (円) | 営業利益率 (%) | ROE (%) |
|---|
| 2017/03 | 228.50 | 5.67 | 8.44 |
| 2018/03 | 301.65 | 7.22 | 10.05 |
| 2019/03 | 312.36 | 6.10 | 9.86 |
| 2020/03 | 227.33 | 5.10 | 6.91 |
| 2021/03 | 226.79 | 4.22 | 6.39 |
| 2022/03 | 249.31 | 6.72 | 6.64 |
| 2023/03 | -72.54 | 3.28 | — |
| 2024/03 | 298.59 | 4.80 | 7.09 |
| 2025/03 | -49.60 | 3.71 | — |
| 2026/03 | 245.76 | 4.10 | 5.46 |
📊 BPS・自己資本比率 10年推移
4208 UBE|10年
BPS(円)
自己資本比率(%)
出典:IR BANK・決算資料
数値データを見る(表)
※株式併合を反映した調整後ベースの値です。年次の確定値のみを掲載しています。出典:IR BANK・決算資料
| 年度 | BPS (円) | 自己資本比率 (%) |
|---|
| 2017/03 | 2707.80 | 40.4 |
| 2018/03 | 3002.73 | 42.5 |
| 2019/03 | 3167.17 | 44.5 |
| 2020/03 | 3288.78 | 45.7 |
| 2021/03 | 3549.85 | 46.6 |
| 2022/03 | 3756.31 | 44.1 |
| 2023/03 | 3729.07 | 49.4 |
| 2024/03 | 4210.64 | 51.8 |
| 2025/03 | 4068.99 | 45.6 |
| 2026/03 | 4500.95 | 46.2 |
まじっているね。ここ数年で、最終赤字の年が2回あるんだ。
1回目はセメントの合弁会社の損失を取り込んだもの、2回目は事業の立て直しで計上した減損損失が響いたもの。原因はそれぞれ違うよ。
赤字の年も、配当はちゃんと払ってくれてたってこと?
払っていたよ!2回とも減配はなし。2回目の赤字の年は増配までしているんだ。
苦しい年に配当をどう扱ったかは、会社の還元の姿勢がよく表れるところ。TJは、ここをプラス評価しているよ!
📋 財務指標 分析一覧
| 指標 |
評価 |
| 売上高 |
セメント事業を合弁会社に移した2023年3月期に4千億円台へ。直近の減収は製鋼事業の譲渡とナイロン等の不振。 |
| 経常利益 |
2023年3月期は出資するセメント会社の損失を取り込み赤字。直近2期は持分法の利益が加わり、営業利益を上回る。 |
| EPS |
最終赤字は2023年3月期と、構造改革で減損を計上した2025年3月期。黒字の期は220〜310円台の横ばい圏。 |
| ROE |
2019年3月期を最後に、私が目安にしている8%を下回る。中期経営計画は2030年度に8%以上が目標。 |
| ROA |
総資産が10年で約1.3倍に増えた一方、純利益はほぼ横ばい。ROAは一時の4%台から2%台へ下がった。 |
| 営業利益率 |
3〜7%台で上下し、7%台は2018年3月期の1回だけ。2027年3月期は4%台後半の会社予想。 |
| 売上原価率 |
ナイロン関連は、ベンゼン等の主原料の急な値動きで製品との価格差が縮むおそれ(有価証券報告書)。直近は原料安も増益に効いた。 |
| 自己資本比率 |
40%台前半から2024年3月期に5割超へ。直近2期は40%台半ばで推移。 |
| 利益剰余金 |
赤字の2期も配当は続けた。黒字の8期はいずれも利益の半分超を配当に回さず、社内に残してきた。 |
| 有利子負債比率 |
2千億円前後から2025年3月期以降は3千億円台へ。会社はD/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)1.0倍を上限に置く。 |
| BPS |
10年で約1.7倍に増えた。前期を下回ったのは最終赤字の2023・2025年3月期の2回だけ。 |
| 営業CF |
10期ともプラスを保つ一方で振れは大きく、最少の2023年3月期は最多の2018年3月期の4分の1ほど。 |
| 投資CF |
支出は2025・2026年3月期とも営業CFを上回り、直近はドイツ企業のウレタン事業買収で2倍超に。 |
| 財務CF |
借入などの調達が配当の支払いを上回り、2025・2026年3月期は2期続けてプラス。 |
| 現金等 |
前期末から半分以下に減り、2026年3月期末で月商(1カ月分の売上高)の約1.4倍。 |
| 配当推移(10年) |
据え置きを挟みつつ60円から110円へ約1.8倍に。2027年3月期はDOE(株主資本配当率)引き上げで160円の会社予想。 |
| 配当性向 |
20%台から40%台へ上がってきた。2027年3月期予想は60%台で、利益に対する配当の比率は一段高まる。 |
| 自社株買い |
2026年3月期は単元未満株の買取のみ。会社は、機械・セメント事業が上場した場合の資金の一部で自己株式取得を検討する。 |
| PER推移(10年) |
期末PERは赤字の2期を除き7〜10倍台(2017〜2026年3月期、3月末終値)。一般的な目安の15倍に届いた期はない。 |
| PBR推移(10年) |
1倍を上回った期末は2018年3月期の1回だけ。翌期から8期続けて1倍を割り、0.5〜0.7倍台で推移した。 |
| 配当利回り推移 |
期末の配当利回りは2017・2018年3月期の2%台から上がり、2020年3月期以降は3%台後半〜5%台で推移。 |
リーマンショック後 の配当推移 |
2010年3月期は年40円(2017年の株式併合で調整後)。以後は2026年3月期まで減配なし(IR BANK)。 |
| 株主還元方針 |
安定配当が基本。2026年5月にDOEを2.5%以上から3.5%以上へ上げ、早期の4.0%と累進配当を目指す。 |
| セグメント |
利益の柱はポリイミドなどの機能品で、利益率は約16%(2026年3月期)。売上の約半分の樹脂・化成品は3%台。 |
| 海外売上比率 |
海外の顧客向けが売上の約55%(有価証券報告書)。地域ではアジアが最も多く、欧州、北米と続く。 |
出典:IR BANK・Yahoo!ファイナンス・有価証券報告書・決算短信・中期経営計画
▼ くわしくデータを見る
名前が変わっただけじゃなくて、会社の中身も変わったの?
大きく変わったよ。建物に使うセメントは合弁の別会社へ切り出して、いまは化学品が事業の中心。
なかでも利益を多く生んでいるのは、ポリイミドなどの機能品なんだ!
海外のウレタン事業も買ったんだよね。しっかり稼げるかは、まだこれからじゃない?
そこが次の注目点。買ったウレタン事業の利益が、どこまで伸びてくるかだね。
引き上げた配当を長く続けられるかも、入れ替えた事業の稼ぐ力しだい。事業別の数字に、ぜひ目を通してみて!
🏆 UBE(4208)総合評価
業績・財務・キャッシュフロー
ウレタン事業の買収で上乗せがあったものの、2026年3月期の売上高は前期比5.0%減りました。営業利益は5.0%増え、純利益は黒字に戻りました。会社は、前期の減損による減価償却費の減少、アンモニア工場の定期修理がなかったこと、合成ゴム原料の値下がりを増益の理由に挙げています。この10年で最終赤字は2期ありますが、いずれも営業黒字でした。
自己資本比率はこの10年、私が最低ラインとする40%を上回ってきました。ただ、私が安心と見る50%を超えたのは2024年3月期だけです。有利子負債は2年で2,000億円台から3,500億円台へ増えましたが、営業CFはこの10年、毎期プラスを保っています。
割安性・PER・PBR
期末株価で見たPERは、赤字の2期を除く過去10期で7〜10倍台で、いまの予想PERはこれを上回ります。PBRは0.5〜1.0倍台で、1倍を超えた期末は2018年3月期の一度きりです。
MIX係数は22.5未満で、一般的な割安の目安に収まります。同業3社では、PBRは4社で最も低く、配当利回りは最も高い水準。PERはトクヤマに次ぐ低さ。営業利益率はレゾナックHDを上回るものの、トクヤマ・東ソーの半分以下です。
■ 同業3社との比較
| 銘柄 |
PER(予) |
PBR(実) |
配当利回り(予) |
営業利益率 |
基準日 |
| UBE(4208) |
13.10倍 |
0.73倍 |
4.84% |
4.10% |
2026/10/15 |
| トクヤマ(4043) |
11.69倍 |
1.06倍 |
3.13% |
10.59% |
2026/09/25 |
| レゾナック・ホールディングス(4004) |
24.12倍 |
3.60倍 |
0.43% |
3.46% |
2026/09/25 |
| 東ソー(4042) |
13.86倍 |
0.97倍 |
3.76% |
9.37% |
2026/09/25 |
※他3社は2026年9月25日終値から算出(予想値・BPSはYahoo!ファイナンス、営業利益率はIR BANK)。レゾナックHDは12月決算・IFRS。
配当・株主還元
赤字の年も減配はしていません。最終赤字だった2023年3月期は95円で据え置き、2025年3月期は105円から110円へ増配しました。2027年3月期の会社予想は160円で、前期から50円増の見込みです。
160円は、会社が2026年5月にDOEの水準を引き上げた結果です。この予想で配当性向は60%台となり、私の目安とする50%を超えるため、今後の増配余力は注視したいところです。
注意点・リスク
有価証券報告書のリスクで目を引くのは、製品と原料の値段の差です。有価証券報告書によると、構造改革を進めるナイロンやその原料などの事業は、他社の増産で供給が増えたり、ベンゼンなどの原料価格が急に動いたりすると、この差が大きく縮み、業績に響くおそれがあります。
有価証券報告書は、買収全般のリスクとして、期待した相乗効果が出ないと業績を下げるおそれも挙げています。UBEは2025年4月にウレタン事業を取得しており、買収で相手の純資産より多く払った分にあたるのれんは約322億円(2026年3月期末)です。(出典:有価証券報告書〔2026年3月期〕・事業等のリスク)
▼ つづきを読む
UBE(4208)のよくある質問
Q. UBEはどんな会社ですか?
A. 旧宇部興産の化学メーカーで、2022年4月に社名をUBEに変えました。2026年3月期は売上の約半分が、ナイロンやその原料、肥料、合成ゴムなどの樹脂・化成品。ほかに機能品、高機能ウレタン、医薬、機械の事業があり、売上の約55%を海外で上げています。
Q. UBEは減配したことがありますか?
A. 2010年3月期以降、2026年3月期まで減配はありません(IR BANK。2017年10月の10株→1株の株式併合を調整した金額)。最終赤字だった2023年3月期は据え置き、2025年3月期は増配でした。
Q. UBEの配当方針は何ですか?
A. 安定配当を基本方針とし、累進配当を目指すとしています。配当の目安はDOE(株主資本配当率)で、2026年5月に2.5%以上から3.5%以上へ引き上げ、早期に4.0%を目指すと公表しました。DOEは、株主資本の何%を1年の配当に回すかを表します。
Q. UBEに最終赤字の年があるのはなぜですか?
A. 2023年3月期は、セメント事業を移した合弁会社が石炭の値上がりで大きな損失を出し、UBEが出資比率に応じてその損失を取り込んだためです。2025年3月期は、アンモニアやナイロン原料などの事業の構造改革を決め、工場設備の減損損失を計上しました。
Q. UBEの主なリスクは何ですか?
A. 有価証券報告書は、ナイロンやその原料などで製品と原料の値段の差が縮むこと、世代交代が速いIT・デジタル家電向けの市場で顧客の求めに遅れること、買収が期待を下回ることを挙げています。売上の約55%を占める海外の政治・経済の変化も挙げられています。
▼ 質問と回答をすべて見る
💬 【TJの視点】
TJ(運営者・個人投資家)
UBEの配当は安定しているのか。私の答えは、配当を守る姿勢は安定、ただし利益の裏付けはこれからです。
配当の決め方にDOEの下限を置き、累進配当も目指すと掲げたこと。会社の本気度を測るとき、私が重く見る物差しです。
ただ、今回の大きな増配は、最終利益が大きく伸びた結果ではなく、配当の決め方を変えた結果です。
ひと言でいえば、UBEは還元の方針が利益より先を走っている会社。たとえるなら、給料が上がる前に仕送りの額を先に決めたようなものです。
続けられるかは、構造改革と買収したウレタン事業が、どこまで利益を積み上げられるかしだい。そこが私のいちばんの観測点です。
引き上げた配当と、まだ追いつかない利益。どちらを先に見るかで、UBEの見え方は大きく変わります。
執筆:TJ(個人投資家・プロフィール/記事の品質管理について)
⚠️ 免責事項
この記事はTJ個人の見解や実体験、決算資料等からまとめたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資に関する最終判断はご自身にてお願いいたします。本記事の情報は、2026年10月15日時点。
サイト運営者