ヤスいだけ?低PER株にひそむワナ TJ流の見分け方|配当ゼミ
⚠️ 免責事項
この記事はTJ個人の見解や実体験、決算資料等からまとめたものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資に関する最終判断はご自身にてお願いいたします。本記事の情報は、2026年8月5日時点。
「TJの配当ゼミ」へようこそ!
今回は、低PER株にひそむワナ!
前回、PERは「投資したお金を何年で回収できる計算か」の目安だとお話ししました。それなら数字が小さい株ほどおトク——と言いたいところですが、そのまま飛びつくと危ないケースがあります。
TJが危うくワナにかかりかけた実話も、包み隠さず白状するよ!
- 高配当株投資家
- 一度買ったら長期保有が基本
- 2022年から株式投資をスタート
- 15〜20年非減配を基準に銘柄分析
- 独自のスコアシートと10年チャートを作成
- 小型株とバリュー株が好き
- スーパーの半額シールも好き

さいしょに、いつものお約束!
この配当ゼミは特定銘柄の売買をおススメしないよ。TJが渡すのは、自分で判断するための「物差し」だけ!
きょうの結論
低いPERは、それだけでは「割安の証拠」になりません。私は「なぜ安いのか」の理由を確かめるまで買いません。実力より安く放置されているだけなら掘り出し物。この先の稼ぐ力が細っていくせいなら——それが「割安のワナ」です。
前回の「回収の年数」には、じつは大事な前提がありました。
それは、会社が将来も同じ利益を稼ぎ続けることです。
この前提が崩れている株ほど、数字の上では安く見える——今回は、そのカラクリと、ワナの4つの型、そして型ごとの見分け方を1つずつお渡しします。
なぜ安い?低PERには、何か理由がある
株価には、市場に参加するみんなの「期待」が乗っています。この先も稼ぎが伸びると期待される会社ほど、株価は1年分の稼ぎの何十倍にも買われ、PERは高くなります。
つまり、低PERとは「市場の期待が低い」状態でもあるのです。
期待が低い理由は、大きく2つに分かれます。
・実力はあるのに、目立たず放置されているだけ(=掘り出し物の可能性)
・この先、稼ぐ力が落ちると見られている(=ワナの入り口)
やっかいなのは後者です。
業績の悪化を見込んで株が売られると、数字の上では「高配当×低PER」というおトクな顔になって、私たちの前に現れるのです。

低PERで配当利回りも高い株を見つけたら、超お買い得ってことじゃないの?
じつは要注意!株価が下がったから「そう見えているだけ」のケースがあるんだ。
PERも配当利回りも、計算に株価が入っている。
株価の下落は、PERを下げて、配当利回りを上げる——数字だけ見ると、おトクな株の顔になるんだよ!
バリュートラップ 割安のワナ、4選
安く見えるのに、買ったら安いままだったり、さらに下がっていったりする株。
「バリュートラップ(割安のワナ)」と呼ばれる株です。
私がバリュートラップにハマらないように事前に気をつけていることは、以下の4つ。
それぞれに、無料でできる「1チェック」も添えておくね!
① 利益がピークのとき、PERは低く見える
景気に敏感な業種や特需で、利益が一時的にふくらんだ瞬間の株。EPS(1株あたりの年間の稼ぎ)が大きいぶん、計算上のPERは低く出ます。利益が普段の水準へ戻ると、同じ株価でもPERは跳ね上がります。
✔ 1チェック=過去10年のEPSの推移を見る。山と谷を繰り返す会社なら、いまが「山の上」でないかを疑う。
② 事業そのものが、ゆっくり縮んでいる
世の中の変化で、商品やサービスの出番が年々減っていく会社。いまの利益水準では安く見えても、稼ぐ力の土台が細っていくため、市場は先回りして低い値段を付けがちです。
✔ 1チェック=売上高の10年推移を見る。さらに、粗利率・営業利益率がじわじわ低下していないか確認する。じわじわ右肩下がりなら、有価証券報告書の「事業等のリスク」まで読んでみる。
③ 1回きりの利益で、EPSがかさ上げされている
土地や事業の売却益など、その年だけの特別な利益でEPSがふくらんでいる株。翌年には消える利益なので、見かけのPERの低さは長続きしません。
✔ 1チェック=本業のもうけ(営業利益・経常利益)と最終利益(純利益)を見比べる。純利益だけ不自然に大きい年は、決算短信で中身を確かめる。
④ 業績悪化を、市場が先に織り込み済
これまでの業績が良くても、会社自身が「この先は減益」と業績予想で示している株。上記1~3が「いまの数字が長続きしない」ワナだったのに対し、4は悪化を市場がすでに織り込んだ結果の「正当な安値」であることもあります。ただし安値が正当でも、いま見えている高い配当利回りが減配で消えることはあります。
✔ 1チェック=最新の業績予想の利益に対し、配当性向が跳ね上がっていないか確認。私の目安は50%まで。80%超など高水準が何年も続いているなら、増配余力も会社が成長に使えるお金も少ないので、私は次の減配候補として警戒。四半期決算の進捗率と下方修正有無も一緒に確認。

4つもあるんだね。TJは、どのパターンをいちばん警戒してるの?

④だよ!
この先が減益の会社予想なら、これまでの業績が良くても、TJはかなり警戒するんだ。
業績低迷で株価が下がる。PERも下がる。配当利回りは上がっていく——この流れの株は、優良バリュー株じゃなくて要警戒銘柄として遠ざけているよ!

会社の予想って、ボクはどこで見ればいいの?
会社が発表する決算短信の1ページ目に「業績予想」!
業績落ち込みによる株価下落=配当利回りアップ。こういった銘柄は、いったん立ち止まるようにしているよ。これだけでも、ワナをぐっと避けやすくなるんだ!
TJが危うくワナにかかりかけた話
ここからは、私自身の実話です。
投資を始めて間もない2023年のはじめ頃、私はケイアイスター不動産(3465)という銘柄を買おうか迷っていました。当時の私の目には、配当利回りが高くて低PER——まさに「高配当×低PER」のおトクな株に見えていたのです。
迷った私は、配当のことを調べて、「これはワナではないか」と気づき、買うのを見送りました。いま記録を確認すると、ちょうどその時期(2023年2月)に、2023年3月期の年間配当予想が期初の280円から230円へ引き下げられていました(出典:IR BANK)。
いま振り返れば、まさに先ほどの④の構図です。
同社の年間配当は、2022年3月期の265円をピークに、2023年3月期230円→2024年3月期180円→2025年3月期151円と、3年連続の減配となりました(※いずれも2026年4月の株式分割前の実額ベース。出典:IR BANK)。
誤解しないでいただきたいのは、これは会社や事業の良しあしの話ではない、ということです。同社の配当は2026年3月期には235円(同・株式分割前の実額ベース)へと増配に転じています。
あくまで「長期保有の高配当株投資として、当時の私が保有するには合わなかった」という、物差しの話です。
この経験もあって、TJには以下のような購入基準があるんだ!
過去15年間で2回以上の減配があったら、私はほぼ買いません(普通配当ベース)。
ただし、コロナ禍のような特殊要因による減配は例外として扱います。よほどの好材料が多数そろっていれば総合的に考えますが、キホンはこの基準です。

減配の歴史は、その会社が「苦しいときに配当をどうしたか」の記録。TJはPERの低さに心が動いたときほど、この記録を先に確かめるようにしているよ!

TJが銘柄ごとに減配の歴史をチェックした結果は、「銘柄分析スコアシート」の各記事で見れるよ!参考にしてみて!
今日の宿題(1つだけ)
✏️ 気になる銘柄1つの「配当の歴史」を眺めてみる
- スマホで IR BANK を開き、気になる銘柄名か証券コードで検索
- 銘柄ページのメニューから「配当」を開く
- 年間配当(合計)の列を、上から下へざっと眺める
- 前の年より減った年(減配)が何回あるか、数えてみる——今日はここまで
※見るだけで、売買はしません。株式分割があった銘柄は「分割調整」の列で比べるのがコツです。減配の回数を数えるだけで、その株との付き合い方の解像度がぐっと上がります。
次に読む1本
今回の話は、PER=投資回収の年数という前回の土台の上に立っています。まだの方は、こちらを先にどうぞ。
→ PER、ナゼ低いと良い?TJ流「投資資金の回収年数」という見方
まとめ——安さには、何か理由がある
- 低PERは、それだけでは割安の証拠にならない
- 「なぜ安いのか」の理由確認が先
- ワナのパターンは4つ——①利益のピーク/②事業の縮小/③1回きりの利益/④悪化の織り込み。このパターンごとに1チェックで見分ける
- 私がいちばん警戒するのは④。株価が下がり続けているのに配当利回りが上がっていく株では、いったん立ち止まる

安く見える株ほど、「なぜ安いのか」を調べる、だね!
ボクも配当の歴史から数えてみるよ!
安さの理由まで確かめられたら、割安株探しはもう中級者だよ!
TJも、安い数字に心が動いた日ほど「なぜ安い?」と自分に一度聞くようにしているんだ。
その答えを持って買えるようになることが、バリュー株投資のいちばんの土台ーーそう思っています。

連載『PERのキホン』は全5弾あるよ。第1弾から第5弾まで、下の一覧に置いておくね!
PERのキホン 全5弾
第1弾:PERは「投資資金の回収年数」という見方
第2弾:低PER株にひそむワナの見分け方(本記事)
第3弾:割高・割安はPERの比べ方で分かる
第4弾:放置された割安株の見極め方6選
第5弾:小型株はなぜ割安のまま放置される?
TJの配当ゼミとは?
「TJの配当ゼミ」は、高配当株投資のキホンの考え方と道具を、週1ペースでひとつだけ学ぶ連載です。銘柄の答えではなく、自分で判断するための物差しをお渡しします。
平日=個別銘柄の深掘り/平日週1=このゼミで物差しづくり/土曜=横断の作戦会議/日曜=TJの実際の売買記録、が当ブログの1週間のリズムです。これらの記事であなた自身の判断力が少しずつ身についていったら嬉しいです。
執筆:TJ(個人投資家・プロフィール/記事の品質管理について)



⚠️ 免責事項
この記事はTJ個人の見解や実体験、決算資料等からまとめたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資に関する最終判断はご自身にてお願いいたします。本記事の情報は、2026年8月5日時点。
